杖の長さ

杖の長さの調節をする。

そうしたら、随分と体の状態が変わることがある。例えば、左足の踝に怪我をして、二本杖で歩いている場合、気を付けないと体のバランスを崩してしまう場合がある。

それは、怪我をした足はもちろん、遠因にはなっている。

でもそれだけではない。直接の原因は杖の長さが体に合わない場合がある。今まで普通に生活をしてきた人が、踝の骨折で半年余り、動けなくなってしまうような場合がある。これは、誰にでも起こりうることである。アクシデントは誰にでもやって来る可能性がある。。

そうして、急に杖と車椅子の生活になってしまう。そうするとこの出来事は生活の中にアンバランスを引き起こす。

まず、身体を使う仕事をしている場合はまず、仕事は限られてしまう。やれるべきこととできないことがはっきりとしていれば、僕は可能な限りは仕事をした方がいいと思う。でも、無理はもちろん禁物である。二、三ヶ月が歩けるようになるまでの目安だそうだ。その間のからだの管理を怠らないよう意識してみよう。

その中で、杖の長さは大切である。

杖が体に合っていないために、動くのが辛い。そうして動かなくなると、心の沈んでくる。

ふと気がついて杖の長さを調節してみる。するとこの新しい長さの方が身体に楽である。楽に動けるのである。そんな発見をすることで、沈んでいた心もワクワクとし始める。そういうことがある。

杖の長さを調節する。

簡単なことだ。でもそれに気がつかないということがある。気がつかないからいけないかどうか、そういうことはあまり関係ない。

要はその状態を改善して、より和の状態に持っていければいいわけだから。

でも全ての人がそうした身体への気付きを持っているか。

こうして考えてみると、この杖の長さを変えるような単純さにより、普通の生活の中でも、一つ変えることによって身体の状態が大きく変わることがある。そういう意識を持っているかどうかで、身体の状態が変わってくる。要は、その良い方への変化への欲があるかどうか。欲という言葉が適していなければ、意識という言葉に置き換えてもいい。

この身体全体に行き渡る意識があるかどうか。

杖の長さを調節する。

それに気づくかどうかは、姿勢に意識をむけているかどうかと同じことのように見える。腰や肩に痛みがあるような場合、日常生活での身体の使い方を変えることで、ずいぶん状態が改善されることがある。しかし人間はなかなかの怠け者でそう簡単に身体に意識を持っていくことができない人がたくさんいることも確かである。

しかし、改善した後の方が楽な場合、その状態を身体が求めてしまう場合がある。

そうしたら、しめたものである。その身体の求めに応じて進んでいけばいい。治療家としての指圧師はそうした気付きを与えることができるポジションにある。

当然のことであるが、人に気付きを与えることができるようになるためには、自分自身が気づいていないといけない。