内的感覚の利用

人間には内的な感覚があります。それをどう利用していくのかが、僕の指圧でいちばん大切な部分であると、とらえています。これは指圧をする立場の感覚と、受ける立場の感覚の両方をさしています。

 

受ける方のことを言うと、この内的な感覚に目覚めていなければ、調和の方向に向かっていない、といっていいでしょう。その場合には指圧はそうした感覚を目覚めさせる手段である、と本人に認識させるのが、治療の第一歩であると言えます。この意識の変化は大きく、治療の過程の中では大きなターヌングポイントでもあります。

 

指圧をする方の立場でいうと、この内的な感覚をいかに感じ取り、それを楽しみ感謝して、さらにお返しをしていく、そんな感覚で指圧をしていると、指圧をすることがいつまでも楽しくでき飽きることがなくなります。

 

手のひらをうつ伏せになっている受者の背中にそっと置く。押すのではなく、木の葉がのっているようにそっと、ただおく。目をとじ、手のひらと相手の呼吸にじっと集中していると、二人の呼吸がゆっくりと同調してくるのがわかります。このような状況は内的感覚を聞く能力の高い人では起きやすく、理性で判断する傾向の高い人にはむずかしい練習であるといえます。